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油絵の技法が確立した北方ルネサンスの画家や作品を紹介

 

皆さん、こんにちは!

絵描きのふじゆうです。

 

皆さんは、美術館に行ったりしますか?

かなり細密に描き込まれた絵を見ると、

どんだけ時間かけて描いてるんだろうと感心してしまいますよね。

 

 

美術様式の中でも、特に細密な絵が多く存在する時代があります。

タイトルにあるので、解るとは思うのですが、

そんな北方ルネサンスについて、画家絵画と共に紹介していきたいと思います。

 

それでは、やっていきましょー

 

 

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北方ルネサンスとは

北方ルネサンスは、15~16世紀ごろ、ドイツやネーデルランドの北ヨーロッパで栄えた文化です。
ネーデルランドは、現在のオランダやベルギーにあたります。

イタリアルネサンスが遠近法や明暗法などで、空間の表現に重きを置き理想を求めたのに対し、

北方ルネサンスの特徴は、自然な表現で細密な質感描写にあります。

 

北方ルネサンスの画家たちは、油絵の具を使って正確で細密な質感を表現しました。

そして、そこで写実的な絵画が生まれ、その技法はヨーロッパ全土に広がっていきました。

 

油絵の発明者とも言われる画家ヤン・ファン・エイク

ドイツの版画家としても有名な画家デューラー、幻想的な絵画で有名なボス

そして、ブリューゲルなどが北方ルネサンスの代表的な画家になります。

 

 

ヤン・ファン・エイク

 

ヤン・ファン・エイクのグレーズによる油絵の魅力

ヤン・ファン・エイクは、主にブルッヘで活動したフランドル地方の画家です。

幼少期については、ほとんど明かされていません。

ブルゴーニュ公国の画家で外交官としても活躍していました。

当時はあまり完全ではなかったそ肖像画を細密に描写し、

モデルの人物の人間性(内面)までリアルに描きました。

因みに兄と妹も画家です。

油絵のグレーズ技法の確立者とも言われています。

グレーズと言うのは、油絵の技法ですが、

透明色を何度も重ねて深みを出していくやり方です。

この方法を使うことで、細密描写がより発展していったと想像します。

グレーズは現代の油絵でも多く使われている手法で、

私自身も油絵の魅力はグレーズによる複雑な色彩表現にあると思っています。

 

 

油絵などの絵画に初めてサインを描いた?

また、ヤン・ファン・エイクは、

絵画に初めて著名と日付を入れた画家とも言われます。

この習慣は今でも画家たちに根付いていますね。

 

有名な作品として、1434年の「アルノルフィーニ夫婦像」があります。

いやぁ、美しいですね。

後ろの壁に鏡に映る鏡に映る後ろ姿まで細密に描かれています。

 

また、鏡の上に文字が見えると思いますが、

そこにヤン・ファン・エイクの著名と日付がカリグラフィーで記載してあります。

 

中央のシャンデリアの金属表現などもこの時代のものと思えないほど、細密に表現されています。

 

 

鏡の額の部分もよく見ると複数の絵が描いてあり、細部まで表現されています。

 

 

ヤン・ファン・エイク「ファン・デル・パーレの聖母子」

こちらの絵も子毎回装飾や服の質感など細かく表現されています。

 

 

拡大してもこの細密さです。

金属の質感や、透明なものの帆湧現など素晴らしいですね。

 

 

この辺の服の表現など凄いです。

きめ細やかな質感(テクスチャー)が表現されています。

私には到底マネできません。

 

ヤン・ファン・エイク「ロランの聖母子」

近景から遠景までしっかり描かれています。

近景の人物にまず目が行きます。

 

中景~遠景へとしか気を移していくと、ハトが居たり、

川の方を見下ろしている人が映っています。

なんだか、自分の視力が良くなったんじゃないこと思うぐらい錯覚させられますね。

この絵と似た絵があり、

「聖母を描く聖ルカ」と言う絵とそっくりです。

こちらは、ロヒール・ファン・デル・ウェイデンと言う、

同じく北方ルネサンスの画家が描いたものです。

ヤン・ファン・エイクの絵を参考にして描いたものだそうです。

どちらも北方ルネサンスらしい繊細さがあります。

 

 

ウェイデン「聖母を描く聖ルカ」は、

遠景をあまり描き込まれていないので、より近景に目が行く印象を受けます。

また、人物の服の色が逆になっていますね。

何かの意図があったのでしょうか。

 

 

 

ヒエロニムス・ボス

 

ボスの概要

ボスは、この時代ではかなり個性の尖ったネーデルランドの画家です。

ダリの作品にも似たような幻想的な世界観を描きました。

地獄と怪物の画家」なんて言われたりします。

父も画家で、父の工房で絵画の修業をしていました。

この時代としては、かなり異端で、現代アートにもありそうな絵を描きます。

15-16世紀の絵画とは思えなく、20世紀のシュルレアリスムを思わせるような絵です。

 

 

ボスの有名作品 快楽の園

有名な作品としては油彩画の「快楽の園」があります。

これは次の3つの部分に分かれています。

・アダムとイブの地上の楽園(左)

・快楽を知った人間たちの楽園(中央)

・人間が怪物から拷問を受ける地獄(右)

 

と言った流れがあります。

 

シーンに物語性があり、怪物や人、動物などが個性豊かに描かれています。

おとぎ話の中の中に入ったような絵ですね。

 

ボスの作品はあまり数が残っていません。

なぜかというと、16世紀の宗教改革によって、偶像破壊を受け、

作品の多くが紛失されたからです。

残っている絵は、30点ほどだそうです。

 

ボス「荒野の洗礼者ヨハネ」

ほんと不思議な絵を描きますよね。

前後関係を解りずらくしてあることと、

大小の関係が複雑で、だまし絵的な部分もあるように思います。

 

 

ピーテル・ブリューゲル

 

ブリューゲルの概要

ブリューゲルは、農民たちの生活を多く題材にしたことから「農民画家」と呼ばれたりします。

農民を描いていうものが多いですが、ブリューゲル本人は都会的で教養のある人物だったようです。

作品によっては、幻想的な作品もあります。

その理由としてボスの影響を受けているとされています。

遠近法などをあまり取り入れなかったり、

空想的で現代アートのような部分があるのはやはりボスの影響でしょうか。

 

 

 

ブリューゲル バベルの塔

有名な作品として、「バベルの塔」があります。

この絵は、このサイズ感だとあまりわかりませんが、

あらゆる場所で人々の生活があらわされています。

 

こちらの作品も「バベルの塔」です。

こちらには、また違った魅力があります。

 

 

ブリューゲルの作品から読み解く当時の生活

ブリューゲルの作品は、当時の人々の暮らし

子どもの遊びモノなど様々描かれているので、

歴史的または風俗的な資料としても価値を持っています。

 

 

褐色の中に鮮やかな色が使われているのが特徴的ですね。

明暗差も強く表現されておりイラスト的な印象も受けます。

 

 

 

アルブレヒト・デューラー

 

画家デューラーの概要

デューラーは、北方ルネサンスの画家であり、ドイツ最大の画家です。

金細工職人の息子として生まれました。

描いたモチーフは様々で、画材としても油絵だけでなく、

水彩の作品も多く残しています。

 

イタリアのヴェネチアに留学しデッサンや色彩、印刷などについて学びました。

イタリアルネサンスをドイツに持ち帰った画家とも言われます。

晩年、デューラーは宮廷画家となり他国にも名声を高めました。

自分自身の容姿に自信があり、教養もあったようです。

また、細密な自画像なども多く残しています。

 

デューラー「22歳の自画像」

独特な髪形ですね。確かに男前でイケてます。

 

 

デューラー「27歳の自画像」

このころになると、ひげを生やしたようです。

ファッションが独特ですよね。

機能性よりデザイン性を意識した服装のように感じます。

髪がかなりカールしていますが、当時の人たちはどうやってパーマしていたのでしょうか?

気になります。

 

 

デューラー学者たちに囲まれるイエス」

北方らしい細密な描写でありながら、

イタリアルネサンスらしい豊かなフォルムも表現されています。

 

 

デューラー「野うさぎ」 水彩

水彩でこの写実性は、凄すぎます。

 

 

デューラー「草の茂み」 水彩

何の変哲もない草ですが、細密かつ魅力的に表現されています。

水彩画でここまで細密に描けるものなんだど感心してしまいます。

 

 

デューラーデッサンの作品「祈る手」

手の指紋の表現など、独特なタッチ感で魅力的です。

 

 

 

 

まとめ

 

と言うことで今回は、

北方ルネサンスについて紹介していきました。

 

このように美術史に触れ、作品に触れていくと、

作品の特徴構図などを元に

絵を見た時に誰が描いた作品なのか瞬時に分かるようにもなります。

 

目が肥えるといった感じに似ていると思います。

そして、美的センスが磨かれてきていることにも繋がるでしょう。

作品を鑑賞し、考えることが大事だと思います。

 

 

 

では、ふじゆうでした。

また別の記事で。