皆さん、こんにちは!
絵描きのふじゆうです。
ルネサンス盛期の有名な画家は他の記事で紹介しましたので今回は
初期のルネサンスの画家を紹介していこうと思います。
この辺の画家になってくると知らない人も多いのではないでしょうか。
この時期ではまだ油絵ではなくフレスコ画やテンペラ画で描かれているものが多いです。
ここは、油絵メインのHPですが、
油絵を描く上で美術史は避けては通れないと思いますので紹介したいと思います。
流れとしては、
モザイク画➡フレスコ画➡テンペラ画➡油絵
といった感じに時代と共に移り変わっていきます。
因みにフレスコ画というのは、色のついた石等の顔料を細かく砕いたものを水に溶かして、
薄く漆喰を塗った壁や天井に顔料を筆で付けてしみこませるように描いていく技法です。
モザイク画よりは、定着力があり筆で描くので細かな表現が可能です。
フレスコ画の難点としては、漆喰が乾かないうちに描かないといけないというところです。
なので、急いで描かないといけない感じですね。
また、一度塗ると顔料が壁と一体化するので塗りなおしも困難です。
描いていく際は計画性もって制作していく必要があります。
油絵と比べるとかなり不便な画材ですね。
テンペラ画は、フレスコ画と違い木の板に描かれます。
壁と違って漆喰は使えないので、漆喰の代わりに固着剤を使用します。
固着剤はウサギなどのニカワが使われ、これに顔料を混ぜ合わせるために卵を用います。
フレスコ画より安価で急いで制作する必要もなく、修正や書き直しもある程度可能です。
難点としては、木の板が湿度で反り返ってしまい、
顔料がはがれてしまうことがあるようです。
また、テンペラ画は現代でも使われています。
話がそれてしまいましたが、
今回は初期ルネサンスの画家を作品と共に紹介していきます。
👇美術史の流れ
それでは、やっていきましょー
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目次
初期ルネサンスの画家➊ マサッチオ(マザッチオ)
近世絵画の確立者 マサッチオ
マサッチオは、フィレンツェ共和国、ルネサンス初期の画家です。
ジョットの後を継いで、近世絵画の確立者と言われたりします。
26歳の若さでこの世を去っており、
あまりにも早い死なので、
マサッチオの才能に嫉妬した画家が毒殺したなんて言われたりします。
絵画には、現実的な表現をしたモノが多いです。
遠近法を初めて使った画家?
また、遠近法の一点透視図法を始めて使用した画家と言われています。
「貢の銭」という作品のフレスコ画です。
左側の建物を見るとあっきらかに透視図法を使ったパースが見えますね。
遠近法の消失点はイエスキリストの顔に向かうように描かれています。
マサッチオの明暗法
マサッチオの絵は、明暗法(キアロスクーロ)も自然に表現されています。
明暗法というのは、輪郭線ではなく光などの明暗で姿形を表す技法です。
この2つの表現、遠近法と明暗法は革新的でルネサンスの絵画に大きな発展をもたらしました。
また、この絵は、『マタイによる福音書』に出てくる聖ペトロに関する絵で、
ペトロが3場面に分かれて描かれています。
同じ絵画に3人同じ人が居るということですね。
なんだか不思議な感じがします。
●中央の場面が、キリストがペトロに魚の口から銀貨を見つけるように言っているシーン。
●左側の場面が、ペトロが魚の口から銀貨を取り出すシーン。
●右の場面が、ペトロが収税吏に銀貨を渡しているシーンになっています。
また、この部分の右側の人物が、マサッチオの自画像だと言われています。
マサッチオ 聖三位一体
こちらの作品は、1427年頃の「聖三位一体」という作品です。
こちらの作品も遠近法と明暗法でうまく表現されていますね。
当時このように生きている人間のように描く描き方や、3次元的な描写は珍しく、
フィレンツェの画家たちは彼の絵画の原則を学ぶために研究していたそうです。
初期ルネサンスの画家➋ フラ・アンジェリコ
天使のような人物 フラ・アンジェリコ
フィレンツェの近くのヴィキオ村生まれの画家です。
フラ・アンジェリコと言うのは本名ではないです。
若いころから修業を積み、清らかに生き方をし、また画風も清らかさ出ていることから、
「天使のような福音者」を意味するフラ・アンジェリコと呼ばれるようになったようです。
質素な生き方を送り、大司教になるチャンスもも他の人に譲ったり、
絵を描いていただいたお金はすべて、修道院に収めていたそうです。
ほんとに天使のような人ですね。
フラ・アンジェリコの作品
こちらは、1426年頃のテンペラ画で「受胎告知」
色使いも独特で、神々しいですよね。
なんだか優しい感じもうけます。
フラ・アンジェリコにとっては、絵を描くことは神に近づく事であり、
祈りを捧げる行為だったそうです。
まさに僧侶みたいな感じだなぁと。
どの絵を見ても飾り気がなく静かな印象を受けます。
絵には金箔を使っているものも多く、
金箔による表現はゴシック風で衣装はルネサンス風といった感じで、
ゴシックとルネサンスを組み合わせたような絵も多いです。
静かで清らか、そして神聖な美しい絵を描く画家ですね。
フラ・アンジェリコ 受胎告知(コルトーナの祭壇画)
フラ・アンジェリコ キリストの哀悼
初期ルネサンスの画家➌ サンドロ・ボッティチェリ
ボッティチェリもフィレンツェの画家です。
名前は知らなくても絵は知っていると思います。
ボッティチェリの有名な作品は、
「春(プリマヴェーラ)」や「ヴィーナスの誕生」などがあります。
ボッティチェリ 春(プリマヴェーラ)
ボッティチェリ ヴィーナスの誕生
どちらもテンペラ画になります。
まさにルネサンスらしい絵画ですね。
束縛された世界から人間性を解放させているような華やかさがあります。
ルネサンスの精神そのものです。
ボッティチェリは、神話をテーマにした最初の画家
ボッティチェリは、キリスト教ではなく神話を絵のテーマにした最初の画家と言われています。
絵柄としてはイラスト的な輪郭線を強く描いたような表現ですね。
光の表現などをよく見ると反射光なども使われ、立体的に見せていることが解ります。
個人的にはフラ・アンジェリコの絵を表情豊かにして輪郭線を強くしたような印象を受けます。
神々しさというよりは、親しみを感じやすい感じでしょうか。
ボッティチェリ 諸仏の聖母
ボッティチェリ チェステッロの受胎告知
その他のルネサンス初期の画家たち
パオロ・ウッチエロ
ピエロ・デラ・フランチェスカ
フィリッポ・リッピ
アンドレア・マンテーニャ
などがいます。
また余裕がある時に記事にしますね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
ルネサンスの時代背景や画家のことを知ると絵画の鑑賞するのも楽しみが増えたり、
見え方が変わったり、私たちの感性も磨かれると思います。
是非気になる画家がいましたら、ご自分で調べてみてくださいね。
では、ふじゆうでした。
また、別の記事で。
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