皆さん、こんにちは!
絵描きのふじゆうです。
絵の技法には様々なものがあります。
モザイク画、フレスコ画、テンペラ画、油絵、水彩、アクリルなどですね。
そんな中、油絵が生まれる以前の技法(絵の種類)
について今回は紹介していきたいと思います。
それでは、やっていきましょー
油絵が使われるまでの大まかな流れ
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古代の絵の種類には、モザイク、フレスコ、テンペラ、油絵(油彩)などの技法があります。
これらの技法は、
美しさの「美的な側面」と
安さ(コスト)と言う「経済的な側面」
が絡んでおり、この要素が絡み合いながら時代と主に変化し発展していきました。
![](https://aburaenohibi.com/wp-content/uploads/2023/05/jeremy-bishop-HcgK4WoBwzg-unsplash-300x200.jpg)
エジプトのピラミッドなど巨大な建造物を建てた古代の君主たちは、
大きな権力を持っていました。
そのため、経済性(コスト)は気にせず、美的な側面だけに着目していました。
なので、もっとも色彩が奇麗で色彩の退化が少ない
色のついた石を壁に貼り付けるモザイク画がよく使われました。
ですが、モザイク画はあまりにもコストがかかりすぎます。
そこで、発明されたのが色のついた石を細かく砕いて粉し、
つまり顔料にし、薄く塗り広げるフレスコ画が生まれました。
フレスコ画は、モザイク画に比べてコストは大幅に少ないです。
ですが、フレスコ画は短時間で描かないといけないというデメリットがあります。
それと、モザイク画とフレスコ画は基本的に壁に描くために使われるものです。
なので、一般的な家には、壁画を描くような大きな壁はありません。
このような家と大きな壁を持っており、
これらの技法の作品を所持することができるのは、君主や教会などに限られます。
そのため、よりコストが掛からない木版に絵が描かれるようになります。
それが,顔料と固着剤のにわかを卵と混ぜて絵具として使用するテンペラ画です。
さらに、卵の代わりに油を使う油絵が生まれます。
油絵の技法を確立したのは、画家ヤン・ファン・エイクと言われていますね。
![](https://aburaenohibi.com/wp-content/uploads/2023/05/スクリーンショット-2023-05-21-005614-217x300.png)
そして、絵を描く媒体も木版よりも手軽で扱いやすく安価なものへと変化していきます。
それが現代でも一般的な布を張った張りキャンバスです。
全体としての大まかな流れはこんな感じです。
モザイク画の特徴は?
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モザイク画とは、色のついた石を壁に貼り付ける技法です。
小さなキューブ状の石を壁に貼り付けていきます。
このキューブ状の石のことをテッセラと言います。
これを二人一組になって、一人が使用する色のテッセラを渡し、
もう一人の人が、漆喰を塗った壁に張っていくという形で絵が作られていました。
モザイク画の長所(メリット)
モザイク画のメリットは、色彩が鮮やかな石をそのまま使用するので、
発色が良く、鮮やかな色が出せることです。
また、色が退色しないことがメリットです。
退色は基本的に太陽の光によって起こります。
モザイク画は、密度が高く粒子に光が当たる面積が少ないので、
色あせずらい特性があります。
だから、昔の1500年近く前のモザイク画が制作当時と変化することなく、
当時の輝きと発色を保っているのです。
モザイク画の短所(デメリット)
デメリットとしては、壁に貼り付ける物なので、地震等の揺れに弱いことです。
テッセラは、壁に半部ほど埋め込んであるだけなので、
大きく金が揺れるとはがれてしまう可能性があります。
それと、細かい描写を使用とするときに、テッセラを並べて描くという技法なので、
細密な描写ができない点もデメリットになります。
その他のデメリットとして、コストが高いことです。
鮮やかな石をそのまま使うので、宝石を絵に埋め込むようなことに近いです。
石を粉にして使う技法に比べて、同じ量の顔料で描ける面積が全然違います。
そのため、時代の流れと主に使われなくなっていきました。
フレスコ画の特徴は?
![](https://aburaenohibi.com/wp-content/uploads/2023/05/スクリーンショット-2023-05-26-002416.png)
フレスコ画は、石などを砕いて作った色彩顔料を水に溶かし、
薄く漆喰を塗った壁や天井に筆で顔料をしみこませて描いていく方法です。
ヨーロッパの教会や宮殿の壁画のほとんどはこの方法で描かれています。
フレスコとは、英語で新鮮と言う意味です。
つまり漆喰が新鮮なうちに描いていく必要があります。
また、フレスコ画で1日で塗ることができる範囲のことをジョルナータと言います。
1日分の作業量を意味する言葉です。
大きな壁画はこのジョルナータを何度も繰り返しているので、
漆喰の重なりがある部分があります。
これを見ることで、描き進められた順番を知ることができます。
因みに、漆喰が乾いた上から描き足す方法をフレスコ・ア・セッコと呼び、
湿った状態で行う場合は、ブオン・フレスコと言います。
フレスコ画の長所(メリット)
乾く時に顔料が壁と一体化するため、モザイク画よりも固着力があり、
筆で描くため細かな描写をすることができます。
フレスコ画の短所(デメリット)
描く場所は、壁なのでモザイク画と同様、揺れに弱いです。
そして、漆喰が乾くまでの時間が短いので、
急いで書かないといけないのがデメリットになります。
一度塗った顔料は、壁と一体化するので、基本的に塗りなおしが出来ません。
漆喰が乾いた後、にわかの固着力を使い描き足すことはできますが、
固着力が弱いので、時間がたつと剥がれ落ちます。
テンペラ画の特徴は?
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モザイク画やフレスコ画は裕福な人たちだけの絵でした。
ですが、時代とともに庶民にも美術品が求められるようになつていきます。
そうなると、安価で便利な木版に絵が描かれるようになります。
壁と違い木には漆喰は使えないので、
顔料を木板に固着させるのに他の固着材が必要です。
固着剤は、主にウサギなどから取られたニワカを使い、
これと顔料と混ぜ合わせるのに卵を使用しました。
これがテンペラ画です。
テンペラ画は、ルネサンス期に多く使われた技法で、
ボティッチェリ「春」や、
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リッピの「聖母子」などが、
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この方法で描かれています。
現代でもこの技法は使われています。
テンペラ画の長所(メリット)
木の板は簡単に手に入るので、テンペラ画と比べて、
コストは抑えられます。
フレスコ画とも違って、急いで描く必要がないのもメリットです。
筆を使用するので、細かい描写もでき、ある程度の塗りなおしもできます。
テンペラ画の短所(デメリット)
デメリットは、木板に描くので、
湿度などで気が反ってしまうことです。
極端に反り返ってしまうと、
塗られた顔料に隙間ができて剥離してしまう可能性があります。
また、壁画よりは利便性がありますが、
木材は重いので持ち運びには不便な点もデメリットです。
油彩画(油絵)の特徴は?長所と短所
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テンペラは、顔料とニワカに卵を混ぜて使うのに対して、
卵の代わりに油を使用しています。
大きな違いはそれだけです。
テンペラと油彩は似ています。
テンペラよりも油絵の方が塗りなおしが簡単で、
ぼかしなどの表現も油絵の方が簡単です。
ただ、卵よりも油の方が変色はしやすいです。
油絵の場合最後にニス仕上げをしますが、
時間の経過とともに表面のニスが変色し、
発色が鈍くなつてしまう点はデメリットになります。
ですが、コスト面の関係で、
テンペラより油絵の方が使われる事が多くなつていきました。
また、初期の油絵はテンペラと同じく木板に描かれていましたが、
ヴェネチアでは、キャンバスにテンペラ画で描く画家も表れます。
17世紀ごろに油絵もキャンバスに描かれることが定着しました。
当時のオランダの商人達は、この組み合わせを好むようになり、
以後、油絵はキャンバスに描かれるのが一般的になっていきました。
油絵に関しては、他の記事で何度も紹介していますので、
もっといろいろ知りたい方はそちらを参照ください。👇
まとめ
![](https://aburaenohibi.com/wp-content/uploads/2023/05/giammarco-boscaro-zeH-ljawHtg-unsplash-scaled.jpg)
ということで、今回は油絵の発明以前の技法の違いを紹介していきました。
なんとなく分かったでしょうか?
絵を鑑賞する際は、どのような技法で描かれたのかについても着目してみてくださいね。
何か参考になることがったのあれば、嬉しいです。
では、ふじゆうでした。
また、別の記事で。
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