皆さん、こんにちは!
絵描きのふじゆうです。
絵を観たり描いたりするときその絵のジャンルについて考えたことありますか?
例えば、音楽だったら、ロック、バラード、ジャズ、ブルースみたいにジャンルがありますよね。
それと同じように、美術作品にもジャンルがあります。
そこで、古典絵画を中心にどんなジャンルの絵が描かれてきたのか紹介して行こうと思います。
また、どういうジャンルの絵を描こうか迷っている人にも何か気づきがあるかもしれませんね。
それでは、やって行きましょー
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目次
絵画のジャンルはどうやって決まる?
ジャンル分けの基準はその絵に何が描かれているかで決まります。
その絵に描かれている対象物のことを美術の世界では「モチーフ」と言います。
モチーフは、具体的なものだけでなく、イメージを表現したモノもモチーフになりえます。
そのモチーフの違いで、基本的にはジャンル分けすることができます。
しかし、音楽の世界でロックとブルースの区別が曖昧なのと同じように、
絵画の世界でも明確に分けることができない場合も多いです。
例えば宗教画のようだけど、実は風景画の要素も含んでいるみたいな感じです。
それでも、ジャンルを知ることは、絵画鑑賞に置いて美術史や絵画の本質を理解するうえでも、役に
立つ一つの要素になります。
絵画のジャンルには、どんなものがある?
ざっとあげると、
聖書の場面を描いた「祭壇画「宗教画」、
神話の場面を描いた「神話画」
歴史のある事件を描いた「歴史画」、
人物の描かれた「肖像画」、
風景を描いた、「風景画」
モノや果物、花などを描いた「静物画」、
庶民の日常を描いた「風俗画」、
画家が自分自身を描いた「自画像」、
社会の風刺を描いた「風刺画」、
裸体の人物を描いた「裸体画、
何かの概念やメッセージ性を示した「寓意画」
などがあります。
全部紹介していくとキリがないので、
一部概要を下記で紹介していきます。
絵画のジャンル➊ 祭壇画(宗教画)
祭壇画とは、教会の祭壇を飾る目的で描かれた絵です。
複数のパネルに分かれて描かれる場合が多いです。
また、絵画に扉が付けられているものもあり、
祝祭やミサ等の特別な日にだけ扉を開いて、
公開されたものもあったようです。
教会に飾られるものなので、絵の描かれるモチーフは、
聖書の物語やイエスキリストの教えに関するものになります。
なので、「宗教画」と言うこともできます。
祭壇画として有名なもので、15世紀ごろファン・エイク兄弟が描いた
「ヘトンの祭壇画」があります。
これは、12枚のパネルによって構成されていて、
中央にキリストのイメージをもって描かれた神のパネル。
その両隣には聖母マリア、洗礼者ヨハネ、
更にその両隣は、音楽を演奏する天使たち、
その左にはアダム、その右にはエヴァになります。
下段中央のパネルは、キリストの復活を描いたパネルです。
仔羊が生贄にささげられており、人類のために血を流したキリストと重ねられているそうです。
その周りをは、天使や十二使徒、異教徒、ユダヤの預言者
ローマ皇帝、聖人殉教者等が囲んでいる構成になっています。
なんとも神々しさに圧倒されますよね。
絵画のジャンル➋ 風景画
風景画は説明しなくても分かると思います。
ですが、美術史の中では16世紀頃まで風景画は描かれることはありませんでした。
それまで主なモチーフは人物で風景はただの背景に過ぎませんでした。
当時は教会がパトロンだったこともあり、
描かれる絵はほとんどが宗教画だったと言うのもあると思います。
そんな中、イタリアの画家カラッチが1603年に描いた
「エジプトの逃避」と言う風景画の先駆けのような絵があります。
(上の画像の絵画です)
聖書の一場面が描かれていますが、人物は小さく画面のほとんどが風景で構成されています。
他に同時期でにエル・グレコもほぼ風景画と言っていいような絵を描いています。
この様に風景画が描かれる流れに代わって行ったのは17世紀のオランダです。
オランダでは、商人たちが自宅を飾るための絵を注文するようになりました。
この時に求められたのは、キリストが十字架にかけられた痛々しい絵などではなく、
違う観点の風景が求められるようになりました。
そして、次第に風景画も広まっていきます。
オランダの風景画で成功した画家としては、
ロイスダールが居ます。
ロイスダールは、風車や船の写った風景画など数多く残しています。
また同時代のホッペマも普通の日常の風景などを多く描いた画家です。
何気ない風景の美しさを描いた画家としては、近代的な風景画家の先駆けと言われています。
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絵画のジャンル➌ 静物画
静物画は、1世紀頃から描かれていると言われます。
1世紀に噴火で滅んだポンペイの遺跡で発掘された壁画に海の生き物や果物が描かれています。
ですが、キリスト教の影響により宗教画が増え次第になくなっていきました。
静物画が本格的に復活したのは、16世紀で、
イタリアのカラヴァジョだと言われています。
カラヴァッジョは、静物画は人物を描くのと同じ価値があると主張していました。
カラヴァッジョの静物画の代表作として、「果物籠」があります。
ちなもにこの絵は、みずみずしい果物と虫に食われた果物が描かれており、
生と死を表現しています。
本格的に静物画が広がったのは、風景画と同じで、
17世紀ごろのオランダからです。
求められた理由も風景画と同じような理由です。
絵画のジャンル❹ 寓意画
また、静物画のモチーフには、何かしらの意味が込められて描かれる場合が多かったそうです。
カラヴァッジョの果物籠が良い例ですね。
このように、生の儚さなどを表現したものを寓意画と言います。
寓意画とは、何かの抽象的な概念やメッセージ性を示した絵のことですね。
その中でも、「儚さ」「虚しさ」をあらわしたものをラテン語で
「ヴァニタス」と言ったりします。
モチーフの例として挙げると、
髑髏、腐った果物、枯れた花、砂時計、割れたグラス、懐中時計、本、
シャボン玉、壊れた楽器、貝殻などが「ヴァニタス」をイメージするモチーフとして使われました。
これを説明するのに分かりやすい作品があります。
ピーテル・クラースの「ヴァニタス」(1630年)です。
タイトルに、既に「儚さ・虚しさ」となっています。
この絵には上で取り上げた儚さのモチーフの例として、
骸骨、懐中時計、本などが描かれています。
そして、もう一つ分かりづらいですが、中央左の方に蝋燭の火が消え、
煙が出ているところが描かれています。
これもヴァニタスを表現しています。
つまり、死が訪れるさま。
命の灯(ともしび)なんて言いますよね。
作品例
ヤン・ブリューゲル「小さな壺の花束」1600年頃
みずみずしい花→生
枯れた花→死
金貨・指輪→富の象徴
絵画のジャンル❺ 風俗画
風俗画とは、ごく普通の庶民の当たり前な生活などを絵にしたもののことです。
16世紀イタリアの画家、カラッチが描いた「豆を食う男」は、
寓意的な意味もほとんど含んでおらず、
ただ庶民の食事風景を描いた風俗画の先駆け的な絵です。
風俗画も、風景画と静物画と同じく、17世紀のオランダから多く広まって行っています。
他の例としては、ブリューゲルの作品やフェルメールの「手紙を読む青衣の女」
などです。
風俗画には、他の面でも価値があります。
その時代の人々の生活を表現した絵なので、
歴史的な資料としての役目を果たします。
当時の人々の生活を知る手掛かりになるということですね。
絵画のジャンル❻ 肖像画
昔は写真と言うものがありませんでした。
そのため、証明写真のような役割で描かれたのが肖像画です。
因みに写真が生まれたのは19世紀です。
一般的に肖像画と呼ばれるものが描かれ始めたのは、ルネサンス期からです。
主に裕福な商人が注文して、描かれていました。
15世紀頃は、立体的に人物を描く技術があまり発達していなかったので、
その頃の肖像画は横向きで描かれることが多かったようです。
その例としてドメニコ・ギルランダイオの
「ジョヴァンナ・トルナブオーニの肖像」などがあります。
16世紀になるとより立体的に描かれるようになっていきます。
レオナルドダヴィンチ
「ジネーヴラ・デ・ベンチの肖像(1474年-1478年頃)」
そこで、斜め向きの肖像画がかかれるようになり、
17世紀になると集団の肖像画も増えていきました。
レンブラントの夜警などが良い例です。
この絵は、市民の自警団が出動する瞬間を描いたものです。
夜警とタイトルが付けられ、夜のように思われますが、
実は昼間を描いたものです。
表面のニスの変色で黒ずんで暗く見えてしまっています。
絵画のジャンル❼ 自画像
自画像が描かれるようになったのも、ルネサンス期からです。
中世の時代には、そもそも絵画作品にサイン書くことすら許されませんでした。
当時描かれたのは宗教画がほとんどで、
画家は天からのイメージを映す仲介人のような役割でした。
なので、画家が自分自身を主張するサインや個性を出すことは許されません。
中世の絵画が似たような雰囲気があるのは、このためです。
ルネサンスの時代になると、人間自身の価値が見直されるようになります。
ルネサンスは、人間中心主義とも言われますよね。
よって、画家は天のイメージの仲介役ではなく、
自意識を持った画家として確立していきます。
自画像は、ドイツの画家デューラーやレンブラント、ゴッホなど
多く残していますね。
因みに、サインが絵画に書かれるようになったのもルネサンスからです。
世界の中心が神ではなく人間へ移って行ったということですね。
絵画のジャンル➑ 裸体画
裸体画は、そのまま裸の絵ですね。
なぜ裸で描かれたのかと言うと、哲学者プラトンのイデア論が関係しています。
イデア論では、天界に存在するものが最も純粋で真実の姿であり、
下界のものは、それのコピーに過ぎないと言う考え方です。
純粋で真実の姿とは、つまり服を着ていない裸という感じです。
裸=聖なるもの=神、のように結び付きます。
ちなみに、ルネサンス以前は、聖書に登場する人物のみ裸体画が許されていました。
ルネサンス以後は、神話の登場人物もゆるされるようになります。
ボティッチェリの「ヴィーナスの誕生」などは、
神なので許されているということですね。
19世紀にモネが描いた「オランピア」と言う作品がありますが、
ギリシャ神話の女神のつもりで描いたようですが、
あからさまに娼婦の裸体だと大批判されています。
まとめ
どうだっでしょうか。
絵のジャンルについて考えるのも意外と面白いですよね。
美術史と作品も踏まえて紹介してみました。
あなたは、どんなジャンルな絵が好きですか?
またどんなジャンルの絵が描きたいでしょうか。
何か少しでも気づきあったのであれば嬉しいです。
では、ふじゆうでした。
また、別の記事で。
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